毎月預金から自動引落の社会保険料ですが、発生主義と現金主義で処理が異なります。
従業員負担分を預り金で処理する場合と法定福利費のマイナスで処理するパターンもあるので、
複雑です。
転職して別会社の会計処理が以前の会社の処理と異なる場合は混乱するかもしれません。
原則のパターンをしっかり理解し、その他のパターンを覚えると理解しやすくなります。
給与〆日が月末、支給日が翌月5日の場合で解説します。
【発生主義・原則】(源泉所得税・住民税納付時の仕訳は割愛)
4/30 給与手当/未払費用 給料
法定福利費/未払費用 社会保険会社負担分
5/5 未払費用/現預金 給料支給
/預り金 社会保険料従業員負担
/預り金 源泉所得税
/預り金 住民税
5/31 未払費用/現預金 社会保険会社負担分
預り金/ 社会保険料従業員負担
このように、5月末に引落しの社会保険料は4月時点で支払いが確定しますので、
発生主義では4月に未払計上を行います。
また、従業員負担分に注目してみると分かりますが、同じ5月で貸方と借方で相殺しています。
つまり、いってこいの取引なので、何の科目を使っても月末残高は一緒になります。
法定福利費を使おうが、預り金を使おうが月次決算に影響しないのです。
これは下記にある現金主義の場合でも同じく影響しませんので、簡便的に法定福利費を使用している会社も多いです。
原則は預り金と覚えておき、法定福利費でも問題ないと解釈しましょう。
次に現金主義ですが、これは実際に支払った時に法定福利費の支払いとして処理します。
解説が少ないですが、現金主義は特に注意事項もないのでこの辺にしておきます。
次に、発生主義と現金主義の間をとるパターンを解説します。
実はこの発生主義でもない現金主義でもない中途半端な会計を採用している会社が多いです。
それは、月末が銀行の休業日だった場合です。
引落が翌月にズレ込むので、その場合だけ未払計上するパターンです。
発生主義は手間がかかるから面倒だし、現金主義だと社会保険料の支払いがない月と2か月分支払う月が発生してしまい、推移表がデコボコしちゃうので嫌!
という理由でこの中間パターンが採用されるケースが多いです。
この場合は継続的な取引として使われる未払費用ではなく、単発取引として使われる未払金で未払計上する場合もあるので、注意が必要です。
そして最後に。。。。現金主義or中間パターンを採用しているが、決算月だけは発生主義を採用しているパターンです。
決算月に、前期計上済みの社会保険料と、当期の社会保険料を洗い替えし、1か月分の未払い残高を残します。(決算月末が銀行の休業日の場合は2か月分が残高になります。)
【パターンまとめ】
①発生主義
②現金主義
③中間パターン
④月次は現金主義or中間パターン 決算月は発生主義
このように社会保険料の会計処理方法には4パターンあるので、自分の会社がどのパターンを採用しているのか確認が必要です。
4パターンをしっかり理解できれば転職しても怖いものなしです!
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