棚卸しとは在庫管理のことです。
対象期間にて在庫管理を行うことによって、実際に売れた分が原価(損金)になり、
売れ残った分は次の期間に持ち越すために資産に振替えます。
当期に仕入れても、来期に売れる分は費用ではなく資産ということですね。
棚卸しには実施棚卸と帳簿棚卸があります。
実施棚卸 = 実際に在庫を数える
帳簿棚卸 = 仕入数と販売数を記録して、帳簿上で在庫を管理する
しかし、帳簿棚卸だけでは盗難・紛失、減耗等が確認できないため、決算月には実施棚卸を行います。
小売業の場合、決算月(3月)に残った在庫(100万円)を下記のように仕訳します。
2018/03/31 商 品 1,000,000 / 期末商品棚卸高 1,000,000 摘要:当期棚卸
期末商品棚卸高とは原価のマイナスの勘定科目です。
当期仕入高からマイナスするということです。
そして翌期に期首商品棚卸高として同額を仕訳します。
期首商品棚卸高とは原価のプラスの勘定科目です。
ここでややこしいのが計上日付です。
毎月棚卸を計上する場合は翌月の4月ですが、年に1回しか棚卸を計上しない場合は翌期の3月に計上するので注意が必要です。
名前は期首商品棚卸高なのに期末に計上するのでややこしいですよね。
翌期の在庫が220万円だった場合、前期の棚卸と当期の棚卸はセットで仕訳します。
2019/03/31 期首商品棚卸高 1,000,000 / 商 品 1,000,000 摘要:前期棚卸
2019/03/31 商 品 2,200,000 / 期末商品棚卸高 2,200,000 摘要:当期棚卸
上記の仕訳を計上すると当期の仕入高に前期在庫をプラスして、当期在庫をマイナスすることができます。
これは足し算と引き算の話しなので、しっくりくると思います。
毎月棚卸を計上する場合は期首の1回だけ期首商品棚卸高勘定を使用しますが、
2回目以降は期末商品棚卸高を使って振替えていきます。
これはちょっと文字では説明難しいので、仕訳例をあげます。
2018/04/30 期首商品棚卸高 1,000,000 / 商 品 1,000,000 摘要:前月棚卸
2018/04/30 商 品 1,100,000 / 期末商品棚卸高 1,100,000 摘要:当月棚卸
2018/05/31 期末商品棚卸高 1,100,000 / 商 品 1,100,000 摘要:前月棚卸
2018/05/31 商 品 1,200,000 / 期末商品棚卸高 1,200,000 摘要:当月棚卸
2018/06/30 期末商品棚卸高 1,200,000 / 商 品 1,200,000 摘要:前月棚卸
2018/06/30 商 品 1,300,000 / 期末商品棚卸高 1,300,000 摘要:当月棚卸
7月~2月も同様
2019/03/31 期末商品棚卸高 1,000,000 / 商 品 1,000,000 摘要:前月棚卸
2019/03/31 商 品 2,200,000 / 期末商品棚卸高 2,200,000 摘要:当月棚卸
期首商品棚卸高は4月しか使いません。残りはずっと期末商品棚卸高の振替です。
毎月棚卸しを行うことで、月次の損益がハッキリします。
しかし、実務では毎月数えるのが大変なので、中小企業では年一回のとこが多いですかね。
そして話が大分それますが、簿記2級で勉強した「棚卸減耗損」「商品評価損」の仕訳を計上することも中小企業では見たことがありません。
実施棚卸と帳簿棚卸を併用しないと減耗は確認できないですし、どっちみちこの2つの勘定科目も
原価のプラスの勘定科目なので、棚卸と一緒に計上されているという解釈で良いのです。
棚卸しはプラスとマイナスが理解できれば仕訳も覚えやすいです。
年に1回しかでてこない場合が多いので、前期仕訳を検索すればすぐ思い出せると思いますよ。
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